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WAIS(ウェクスラー成人知能検査)を受けるまで

今からもう2年半前ほど前のことになりますが、2020年の3月くらいに精神科を受診しました。
WAIS(ウェクスラー成人知能検査)という、大人の発達障害の検査を受けるためです。

最終的に発達障害障害の診断は下りませんでしたが、完全に定型発達(ふつう)というわけではなく、診断は下りないけれど普通の人よりIQ値が異なる傾向にある、いわゆるグレーゾーンであるとのことでした。

ショックではないとは言い切れませんでしたが、それ以上に「ああ、やっぱりな」という気持ちが大きかったです。

それは下調べをしていたからという事もそうなのですが、社会人生活を送る上で「自分はどこかおかしいのではないか」と思ったり、同僚から指摘されたということがあったためです。

この記事では、私が「自分がどこかおかしいかもしれない」と思うようになった流れについてお話したいと思います。

社会人になって「自分は仕事ができないタイプの人間だ」と気付く

社会人一年目の会社はチームワークが求められる職場だった

私が社会人一年目に入社した会社は、物品の加工を行う現場作業のある会社で、私は資格者という枠で採用されました。

新人はシフト制の現場作業を主に任されました。
作業の種類ごとに一日のシフトが割り振られており(作業A、B、Cが午前出勤、作業C、D、Eが午後出勤というような感じです)、まずは比較的覚える作業が少ない作業から始めて、飲み込みに応じて他の種類の作業を任されるようになるという流れでした。

一通り仕事を覚え、現場の回し方を把握できるようになってきてようやく資格をに関する業務を教えて頂けるようになるので、入社直後は「資格を活かせるように経験をしっかり積まなきゃ!」と張り切っていた記憶があります。

決まった時間までに作業を完了させることを求められ、スケジュールは分刻みに動いていました。

そういう職場だったので、チームワークやコミュニケーション能力、テキパキ動くスキルは必須でした。

3ヶ月経ってもサポートが必要だった自分

しかし(入社当時は気づきませんでしたが)私はその手のスキルが著しく低く、そういった職場ではお荷物になってしまう程でした。

それにジワジワ気付き始めたのは、入社後3か月くらいしたあたりです。
同時期に入社した同僚が仕事に慣れはじめ、作業時間を短縮させ、ベテランの方と遜色なく仕事をこなせているのに対し、自分が入社時期からあまり変化がない。別にさぼっている風でもないのに(実際サボってはいなかった)作業を終わらせる目安から15分も遅れている。なぜなんだ、と。

作業内容自体は問題なく終わっても、私が15分作業終了が遅れれば他の人の作業予定が後ろ倒しになってしまうので、職場の皆さんには負担をかけてしまうことの連続でした。
それでも皆さん「こうすればいいんじゃないか」とアドバイスを下さったり、指導役の上司も作業内容の見直しをして下さったり、時にはリカバリーに入ってくださったりと本当にお世話になりました。

しかし結局、アドバイスを聞いて実践しても、無駄な作業がないか点検しても時間ロスがなくなりませんでした。
特にイレギュラーな事態(作業量が通常より多い、途中で別なタスクが追加されるなど)があると特にそれが顕著でした。

同僚と同じよう仕事ができるようになりたいのに出来ないというのは本当に情けなくて、負担をかけてるのも申し訳なくて、(非常に恥ずかしいことに)休憩室でベチョ泣きしたこともありました。
遅いなりに真面目に作業自体はやっていたので、サボっているなどの疑いはありませんでしたが、退職前あたりには「遅くても仕方ないよね」と諦められている雰囲気をひしひしと感じ、自業自得ですがそれも辛かったです。

転職後はマニュアルがなく、臨機応変な対応を求められるように

その後転職して、プチ管理職のような立場になりました。

自分の裁量で動けることが増えた分、臨機応変な対応を求められるようになりました。
毎日のタスク以外にも、過去の資料のファイリングをしたり、PCにデータを入力したり、資料をコピー・配布したり、その他会社ぐるみの行事に動員されたりとやることが多く。かといって仕事を分け合える同僚はおらず。ベテランさんの力をお借りしてどうにかやっているような状態でした。

その頃には自分が「臨機応変な対応」を苦手としているのに薄々感じてきており、日々のタスクを紙に書きだして対応するようにしてみましたが、あまりうまくいきませんでした。ここでも同僚には何かと負担をかけていたと思います。

本当はよくないことですが、持ち帰りで仕事をしてみたり、終業時間を超えても仕事をするのが常態化していましたが、その甲斐もなく仕事の進捗は芳しくありませんでした。

疲れ切って自分の机でうつらうつらしていた所を咎められたこともありましたので、一部の同僚からは怠惰な上司と思われていたのではないかなと思います。
(仕事ができないのも怠惰なのも同僚からすれば大差ないでしょうが)

仕事がうまくいかない原因は

「言語性IQと動作性IQのブレ」

転職後の会社を退職する前後あたりのことでしょうか。
「仕事がうまくこなせなくていつもいっぱいいっぱいだ」というような事を友人に愚痴っていたら、以下のようなことをお話してくれました。

それは言語性IQと動作性IQのブレかもしれないですね。事務処理は動作性IQに依存してて、でも言語性が高いと勉強とかはできちゃうから。100から離れることでのしんどさと言語性と動作性が乖離していることによるしんどさ、この2つの軸があります。

WAIS(ウェクスラー成人知能検査)ってあるので気になるなら受けるといいよ。言語性と動作性の乖離は主に発達障害であらわれるのですが、仮にそうならわかっていた方がわたしは生きやすくなると思いますよ

動作性IQが低いと起こること

動作性IQが低いとどういう支障があるんだろうと自分でも調べてみた結果、色々と当てはまる点が多くありました。

目に見える情報をすぐに理解・記憶する、手や体を動かすことが得意等、感覚と運動に関する能力です。具体的には、パズルや間違い探し等の視覚的な認知が得意、非言語的サインを理解できる、手作業が素早く器用な人等は、動作性IQが高いとされます。

勉強が出来ても仕事が出来るとは限らない

仕事がうまく出来ない時、自分でも思ったり、同僚から言われたことは「勉強ができないわけでなかったのに」「大学を出たのに」ということでした。

勉強は出来ていたのに仕事ができないのはおかしい。
勉強が出来るのならば、仕事もできるはずだ。

と普通は思うものですし、私もそう思っていました。
しかし、いざ我が身になってみると、それは決して当たり前ではないのだなと思い知らされました。

(「私がそうであるとは思ってもみなかった」というのが正確なところでしょうか)

WAIS(ウェクスラー成人知能検査)を受けるかどうか悩んでいる人へ

(個人的には)生活に支障がある場合、受けた方がいいと思う

WAISを受けて、発達障害の診断が下りた場合、発達障害支援センターや、就職支援を受けられるようになります。
そして診断がおりなかったとしても、自身のIQの分布を診断できるので、自分の得意不得意について臨床心理士の先生から説明を受けることが出来ます。

私は結局発達障害の診断は下りませんでしたが、検査を受けたことで自分の得意不得意が分かるようになり、その後の他業種への転職に踏み切るきっかけとなりました。

今のままで生活していくのは厳しいかもしれない。
この生活を続けていれば近い将来心身がもたなくなりそう。

そういった不安を抱えているのであれば、思い切って精神科を受診してみるのもいいのではないかと思います。

「いかに自分を理解しているか」が将来設計の鍵になる

誰もが自分の好きな職業に就いて、うまく仕事を切り回して生活していけるのならば、仕事について悩む人はいないでしょう。

でも実際は、好きなことと得意なことは違ったり、適性がなかったり、好きな仕事でも給与が少なく生活していけなかったり、様々な事情で好きな職業に就けなかったり、仕事がうまくいかなかったり、生活していくのが苦しかったりと、仕事の悩みをそれぞれ持っているのではないでしょうか。

給与や仕事環境については会社が動かないとどうにもなりませんが、「自分の適性や得意なことを把握する」ことは自分でも実現可能です。
そしてそれを早めに知っていれば、進路選択の際、苦手な分野に飛び込んで数年を報われない苦労に費やするということは避けることもできると思います。

先輩同僚に色々教わって、みんないい人だったし、仕事で学んだことは無駄じゃなかったけど、

あと2、3年早く知っていたら、アラサーにもなって苦労する羽目にはならなかったんじゃないかな~とは思いますね。。

以前私が友達に「マルチタスクが苦手で仕事がしんどかったから別業種に転職した」という話をしたところ、友達が自分もそうだと言い、「もっと早くに知りたかった」と言っていたので、多分私や友達以外にも「もっと早くに知りたかった/知っていれば」という人は多いのではないでしょうか。

WAISを受診した時の話はコチラ👇

実際WAISってどういう流れで受けてどういうテストをするの?

ということに関してはこちらのnoteに書いていますので、よければ読んでみてください。

note | WAISのこと、私の特性のこと | Lotus in the mud